【教員インタビュー】ファンタジー絵描き/イラストレーター「CGデザイン基礎」松野和貴先生

今回は、前期の講義『CGデザイン基礎』を担当して下さった、講師の松野和貴先生にインタビューを行う事が出来ました!

大阪工科ではどのような講義をしているのか、またどのような先生が講義をしているのかなど、私と先生のインタビューからお伝えすることが出来ればと考えています!

先生について

 

今回『CGデザイン基礎』の講義を行っていただいた松野先生ですが、本業は“絵描き”であるとおっしゃっていました!

その上で、イラストレーターとしての業務も行うという事で、そのイラストレーターの技術を使ってデザインについての講義を担当していました。

そんな絵描きを本職にしている松野先生は、まさにファンタジーという言葉がふさわしい幻想的な絵を主に描かれています!

※絵に関しては掲載の許可を頂いております。

というわけでここからは、松野先生と私とのインタビューとなります!是非ご覧ください!

 

【CGデザイン基礎】松野和貴先生「教員インタビュー」

―――今日はよろしくお願いします。インタビューという形ではありますが、色々お話聞ければなと思ってます。

 

松野先生:はい、よろしくお願いします。

 

―――唐突に連絡してきて、『インタビューさせてください!』って言ってからのこれだったので、まあ困惑されていたり、何聞かれるんやろ…みたいなことも思ってたりすると思うんですけど…。

松野先生:まあそうやね。(笑)
確か『ブログ作ってるんです!インタビューさせてください!』って来たのが、前の授業の終わりごろぐらいだったかな?

―――そうですね…(笑)。しかもまだブログ出来てないのに、『作るんで!』って言って、ブログ出来てないのにインタビューしてるんで…、ほんとに初めての事だらけで自分も緊張してますけど、今日はお時間いただきありがとうございます。

松野先生:いえいえ!全然!

―――今日は専門職大学の講師という事だけでなく、先生のお仕事全般も聞いていきたいと思うんで、是非お願いします。

松野先生:よろしくお願いします。

 

“絵描き”としての松野先生

―――まずは先生のお仕事についてなんですけど…、デザインの仕事は本業じゃないんですよね?

 

松野先生:うん。そうやね、デザインの仕事は本業じゃなくて、本業としては『絵描き』になるかな。

 

―――インタビューするにあたって、色々先生の絵も見たんですけど、なんというか、凄く見ていて幻想的な絵を描いていますよね。ああいった画風になったきっかけみたいなものってやっぱりあるんですか?

 

松野先生:画風に関してで言うと、多分見てきた物の影響が大きいです。
こうしようとか、こういう風にしようとかじゃなくて、自分の見てきた色々な作品を見て触れて、”自分もこういう風に描いてみたい“っていう気持ちの所から入って、自分の作品にたどり着いているのが多分一番大きいんじゃないかなと思います。

そういった自分の見てきた色々な、作者も違う様な作品を見てきて、そういうのが自分の作品に混ざっていっている感じですね。

だから僕が描いている絵は、10年前と今を見比べると全然違う物になってるんですよ。

やっぱり10年間の間に色々な情報が入ってるんで、「あれかっこいいな」とか、「あれ可愛いな」みたいなものが、自分の中にミックスされてきて、今という物の形になっていっている状態だと思います。

 

――やっぱり、色々作品を作る中で常に変化されてるんですね。

 

松野先生:そうですね。影響され続けていると思います。

それで言うと僕が小さい頃、漫画が禁止の家だったんですよ。見ていい物が制限されてたんですよね、例えばディズニーとか絵本とか。
もちろん見れない環境だったり、漫画だったりを恨んだりはないんですけど。
その後漫画も解禁されるので。

でもそういう物に触れながら幼少の頃に育ったので、そういった影響が大きく自分の絵にも出ているんじゃないかなって思ってます。

 

―――自分が影響された物が作品に現れるとおっしゃってましたが、逆に作品のために何か取り入れている物や事なんかもあるんですか?
またそういった影響が作品に与える物って大きいと思いますか?

 

松野先生:ああ、影響としては凄く大きいと思います。変な例えかもしれないんですけど、『芸人さん』に近いかなって思ってるんです。

芸人さんってよく、引き出しを多く持っていた方がいいみたいな話をテレビとかで聞いたことあると思うんですけど。
絵描きとかもそれと同じだと思ってて、日々色々なものを見たりして、引き出しを増やすことはとても大事だと思います。

 

―――ちなみに、その『引き出し』を増やすために意識的に取り組んでる事とかってありますか?

 

松野先生:やっぱりね、こうして年が経ってくると耳が年寄りになってきてるんですよ。(笑)
耳が年寄りってどういう事かというと、“新しい音楽を聴かなくなってる”んですよね。

自分が落ち着く曲・気に入ってる曲だけを聞き続けることが良くない事だなって。
なので、最近では音楽のサブスクのサービスを使って、2021年のヒット曲なんかを聞くようにしてますね。

 

―――これを聞くのも失礼とは思うんですが、先生が今何年何十年と絵描きの業界でお仕事をやってきた中で、時間が経っていくにつれて“感覚が変わっていく”事とかってあるんですか?

 

松野先生:変わるっていう感覚もつもりもないけど、いつの間にか勝手に変わってる。が正しいんじゃないかな。
結局、自分が若いと思ってる感覚が、世間からするともうおっさんなんですよ。(笑)
そのズレがどうやっても出てくるから、新しい情報、さっきの音楽みたいなそういった情報を取り入れようと頑張ってる感じですね。

イラストの世界にも流行り廃りがあって、今だったら、例えば『渋谷カラー』とかが流行りかな。YOASOBIのPVとかで使われている色なんですけどね。

でも僕から見ると、今流行ってる絵とか色合いもそうやけど、ファッションとかも結構80年代の物が巡ってきている感じなんですよ。もちろん色々な所が変わってはいるんですけど。
そういった流行りがループしているのかも分からないけど、だからと言って僕が80年代のファッションを引っ張って来たらズレてる…みたいになるのはそうなんですよ。

これが『どうやってもズレる』の正体なんじゃないかな?とは思いますね。そしてそれには抗えないという…。(笑)

 

―――なるほど…。やっぱり作品作りの中で、時間が経つにつれて色々な物がアッという間に変わっていくんですね。

 

松野先生:ええ、やっぱりそう思いますよ。置いて行かれないようにとはいつも思いますね。

 

―――そういえば先生、一応「個展」もやってらっしゃるという事で、せっかくなのでそっちのお話も聞かせて頂ければと。

松野先生:あれ?そんなんやってるって授業中に言ったっけ?

―――言ってないですが、一応インタビューするという事で調べました。(笑)

松野先生:いや、わざわざありがとうございます。(笑)

―――“個展の開き方“って、僕からしたら凄くハードルの高い物のイメージがあるんですけど、どうなんですか?

 

松野先生:個展と一括りに言っても、大まかには2種類程あります。個展と企画展です。
個展は自分で場所を用意して、自分で開くタイプですね。これは場所のお金とか、諸々全てを自分で用意しないといけないんですよ。
企画展は、主催が違うんですよ。僕自身が主催していない。場所とかの用意を他の企業や団体さんなんかが行って、僕は作品を置くだけという感じ。ですが展覧会とは違って作品が売れた時に何%か支払うという形で進んでいきます。

でも最近は自分でお金払うの嫌なんで、企画展しかほとんどやらないようにしてます。(笑)

場所代に関しても、例えば梅田だったら一週間で十何万とかでかかっちゃうんで、それやったらそうじゃない方が…という話ですね。

もちろん企画展は、呼んでもらう事から始まるんで、ギャラリーの知り合いの方だったり、色々な知り合いが出来るぐらいには活動していかないと、活動してすぐに開けるわけではないとは思います。

 

―――一応、これからも個展という形で松野先生の絵を見る機会もあるんですよね?

 

松野先生:はい。直近だと9月に名古屋にグループ展で1作だけなんですけど展示予定です。
10月に東京の阿佐ヶ谷でもあります。後は11月に京橋で個展の予定をしていて、12月の終わりぐらいに高槻の阪急百貨店で個展を予定しています。

 

―――そこだけ聞くと、もう完全に画家ですね…。

 

松野先生:それ以外にも、イラストレーターとしての仕事もどっちもあるんで、やっぱり大変ではありますけど、こうして絵をお見せできる機会があるのはありがたい事ですね。

 

”講師”としての松野先生

―――専門職大学でで講師をやってみて、どうだったかについてお聞きできればと思います。

 

松野先生:はい。お願いします。

 

―――専門職大学を講師の立場から見た時に、何か思った事とか感じたことなんかってあったりしましたか?

 

松野先生:う~ん。そうやなぁ…。いや、特に感じたことはないですね。本当に普通の大学だったというのが正直な所だったかなと思います。
でもやっぱり、僕、他の女子大なんかでも教えていたんですけど、やりたい事が違うとやる事も大きく変わるなっていうのは感じましたね。
女子大の方は看護学校とか栄養士さんだったんですけど、こっちはデジタル・ITだったので、そういった感覚の違いは大きいなと思いました。

 

―――あとは私達生徒との関わりや、教授や他講師との関わりなんかもありましたか?

 

松野先生:教授や講師に関しては岩崎先生だけやったね。(笑)
学生さんとの関わりに関しては、もう半期ぐらいあれば良かったなあというのが正直な所で…(笑)

 

―――今がちょうど仲良くなり始めだったですもんね。(笑)

 

松野先生:そうやね(笑)。
コロナもあって、Zoomのオンライン授業もあって、マスクで顔が見えない・知らないみたいなものもあったりして、そのあたりがなぁ…と思うんですけど。
でも、話していてやっぱり面白そうな子が多かったから、その分だけ残念だなぁと思う所です。

 

―――少し話は変わるんですが、この大学で講師をするきっかけってなんだったんですか?
聞ける範囲で構わないんで教えていただけるとありがたいんですが…。(笑)

 

松野先生:はい、ここでの講義のきっかけとしては山口先生のお誘いですね。それで今回ここで講師として教えることになりましたね。

 

―――ちなみにどういったご関係だったんですか?

 

松野先生:山口先生は前職の宝塚大学でゲーム関係の先生だったんですよ。今ももちろんそうなんですけど。
僕の所属は漫画の方だったんですけど、学科が一緒だったんですよね。そこで割と山口先生との接点が多くて。
オープンキャンパスの運営を一緒にやったりとか、ちょっと変わっている授業があって、教員8名程で担当する全学科1学年まとめての授業なんかがあって、そのプロジェクトが同じメンバーだったりとかしてたんですよ。
後、昔住んでいる家が近かったのでよく車で送ってもらったりしてましたね。(笑)

 

―――なるほど…(笑)

 

松野先生:まあ飲みにもよく行ってたり、あとは1回だけしかなかったけどキャンプにも行ってたりしましたね。

 

―――そんなこともされてたんですか!(笑)、ちょっと自分のイメージと違いました…

 

松野先生:山口先生は割とアクティブよ。(笑)

 

―――後は講義の中身についてですね。先生が担当されてた『CGデザイン基礎』についてなんですが、色々考えて前期の15回の授業を組み立ててくれていたとは思いますが、今回どうしてもコロナで講義が思う様に進まなかったと思います。
そこでもう少し時間があるなら、他にどんな事を教えてくれていたのか、気になったので教えていただきたいです。

 

松野先生:そうですね…。……僕の趣味とかですかね…?

 

―――(笑)。

 

松野先生:うそうそ!流石に冗談ですよ!(笑)

 

―――ここは是非書かせていただきます。(笑)

 

松野先生: ……滑らない様に頼みます……。(笑)

 

松野先生: まあそうですね…。真面目に答えるとするならば(笑)。
あんまりいい考えか分からないんですけど、授業中にやった細々したスキルって、結構どうでもいいと思っていて。
それよりも伝えたかったのは“なぜそれを作るのか”・“形作る事の難しさ・楽しさ”という所を本当は伝えたかったところだったんです。

技術面に関して言えば、授業中にも言ったんですけど、“ああなんかやったな”って頭の片隅でも入れてもらって、必要になったらググるなりなんなりして思い起こせればいいと思っていたので。
もし仮にもう半期あるなら、その辺りの事をもう少し詳しく、例えばグループ制作とか、プロジェクトを組んでチームで形作る様な事を考えていたと思います。

 

―――はい、ありがとうございます。

 

”イラストレーター”としての松野先生

 

―――今回、講義内容が【CGデザイン基礎】という事で、講義のスキル的にはどっちかというとイラストレーターの松野先生のスキルを使って講義を進めていったと思います。
なのでそちらの方も聞いていきたいなと思うんですが。

 

松野先生: はい。分かりました。

 

―――早速なんですけど、イラストレーターの仕事ってどんな感じなんですか?

 

松野先生: イラストに関して言えば本当に“何でも屋”ですよ。(笑)

例えばラベルとか。そういったイラストが必要な所ではイラストレーターが仕事になります。媒体みたいなものの制限もないので、絵が必要な所では仕事になります。

 

―――そういった仕事の中で“一番人に見られた仕事”ってあったりしますか?

 

松野先生: う~ん……。ちょっとその辺の実感っていうのが分からないんですよね…。
一度手が離れてしまったらどういう物か分からない物も結構あるので…。

 

―――今の言葉を聞いて、本当に“絵を描くという仕事”っていうイメージが、より鮮明になりました。

 

松野先生: そうやね。(笑)
作品というより仕事っていうイメージに寄ってると僕も思います。

 

―――その上で質問なんですけど。“もしもイラストレーターになりたい”という人がいたら、イラストレーターの松野先生としてその人になんて言いますか?

 

松野先生:……やめといたほうがいいんじゃないかな?(笑)

 

―――(笑)。

 

松野先生: イラストレーターって、“資格がない仕事”なので、結論誰でもなれるんですよ。でもなれたからと言って仕事があるわけではないので、どうやってイラストレーターとして生きていくかという所を考えれば、やっぱりやめといたほうがいいかな。

それでもなりたい人がいるとしたら、まず経済観念みたいなものをしっかりしといた方がいいですよ。とアドバイスしますね。

もしその人が正社員なら、クレジットカードは今の内に作っとけって言います。(笑)

 

――なるほど……。

 

松野先生: イラストレーターって、言ってしまえばフリーランスになるんですよ。フリーランスって信用がないとみなされるんで。会社に勤めているって実は凄い信用なんですよね。

だから会社を辞めたらクレジットカードが作れなくなったりとか、グレードを落とされたりとか、あと家とか車のローンが組めなくなるので、なので正社員からフリーランスになるのであれば、今の内に家とか車のローン組んだり、クレジットカード作っとけって言いますね。

後は貯金ですね。しばらく仕事がなくなっても生きていけるだけの貯金を用意しといた方がいいと思います。

 

―――ありがとうございます。こういうある意味実感のこもった話というのを聞けるのは貴重な経験なので、私としては聞けて嬉しかったです。(笑)

 

松野先生: そう?なら僕も話が出来てよかったです。(笑)

 

―――そんな松野先生が思う『デザイン』について、何か考えている事や思っている事などがあれば、教えていただけると嬉しいです。

 

松野先生: デザインって、実はなくなるとどえらい事になる物なんですよ、実は。
今この部屋に存在している物、着ている物、つけている物。全てデザインが関わっているんですよね。

なんとなくデザインって聞くと、かっこいい・洗練されたといったイメージもあると思うんですけど、そういう事ではなくて。デザインがなくなれば椅子もないし、机もない。今着ている服もないと思います。

 

―――先生の思うデザインって、おしゃれな物・人を魅了する物というイメージではなく生活を少しでも豊かにしたり、便利にしたりする物という意味でのデザインなんですね。

 

松野先生: そうですね、僕はそういう人を魅了するデザインされた物を見るのも使うのも好きなんですけど、やっぱり人の暮らしがある限りデザインというのは無くならない物だと思います。

そしてアート的な物に関しても、人によっては全くの価値のない物ではあるんですよ。極論言ってしまえば“無くなってもいい・生きていける物”ではあるんです。

だけど、例えば絵であったり、音楽であったり、映像もそうですよね。そういった物は無くなっても最悪生きてはいける。だけれども街から音楽なり絵なりが消えてしまえば、一気に怖いと思います。

ここが似ていると思います。生活を豊かにするという点では、どちらも同じ役割を果たしていて、必要ないかもしれないけど、無くなると怖い。

だからこそ、デザインであったりアートであったりを、もっと気軽に楽しめる物になればいいなと思いますね。

 

―――はい、ありがとうございます。

―――インタビューはこれで以上になります。今回のインタビューを引き受けてくださって、また1年前期『CGデザイン基礎』の講義共々、本当にありがとうございました!

 

松野先生: いえいえ、こちらこそありがとうございました!

 

最後に

 

という事でいかがだったでしょうか、今回はCGデザイン基礎の講義を担当してくださった松野和貴先生にインタビューを行いました。

このインタビューは、丁度前期の講義が全て終わる7月30日に実施しています。

なので申し訳ないのですが、個展に関してもすでに終わっている物が多くあります…。

講義や大学と全く関係ない話題ばかりになってしまったことも、本当に申し訳ありませんが、大阪工科の講義を担当している講師の姿を、少しでもお伝えできたのであれば嬉しいです!

今回の松野先生は講師の立場からでしたが、次は大阪工科の中にいる教授方などにもインタビューを予定していますので、お楽しみにしていただければ幸いです!

改めて、松野先生本当にありがとうございました!

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